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営業メールのプロンプト例。ChatGPT・Claudeなど生成AIへの頼み方(Claudeで試した出力つき)
営業メールを生成AI(ChatGPT・Claudeなど)に頼むプロンプトを、新規アポ・お礼・失注後のフォロー・値上げ・添削の5場面で紹介。ひと言だけの頼み方と材料を渡す頼み方を、Claudeで試した出力つきで並べました。
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1日に何通も営業メールを書いていると、決まり文句を整えるだけで時間が過ぎていきます。生成AIに頼んでみたのに、出てきた文面を結局ほとんど書き直した。この記事は、そんな人に向けて書いています。
「営業メールを書いて」で出てくるのは、空欄だらけのひな形
よくある例を1つ挙げます(想定の例で、実在の人ではありません)。
Aさん(想定)は30代前半、中小企業向けにクラウドサービスを売っている法人営業です。新規のアポ取り、商談のあとのお礼、断られた相手へのフォローまで、1日に10通以上メールを書きます。
メールを書く時間を減らしたくて、生成AIに「営業メールを書いて」と頼んでみました。返ってきたのは「【相手の会社名】【部署名】【担当者名】様」「弊社では、【誰向け】に【サービス名】を提供しております。」と、空欄だらけのひな形です。結局、中身は自分で一から考えることになりました。
この記事では、そこから一歩進めるための頼み方を、場面ごとに試した結果つきで紹介します。
先に答えを書いておきます。生成AIには材料(相手について分かっていること・商談のメモ・本当の理由)と、やってほしくないこと(書いていないことは足さない、など)を渡します。試した範囲では、ひと言だけで頼むと空欄だらけのひな形が返ってきて、材料を渡すと、その相手に向けた文面が返ってきました。
試した条件
- 使った AI: Claude(Anthropic)の Claude Opus 5.5
- 2026年10月3日に、記事の狙いを伝えない別の会話で試しました。プロンプトは1本ごとに新しい会話として入れています
- ChatGPT や Gemini では試していません。同じプロンプトでも、AI の種類や時期によって出力は変わります
- 会社名・人名・商品はすべて架空です(「サンプル物流(例)」「例示工業(例)」など)
- 出力の文面は手直しせずに載せています(太字の記号だけ外しました)。AIがメールの前後に付けた説明は、必要なところだけ本文で紹介します
ここで紹介するプロンプトは、ChatGPT・Claude・Gemini など、文章を作る生成AIに貼って使える書き方にしています(試したのは Claude だけです)。
まず、頼み方の型
場面が変わっても、渡すものはほぼ同じです。コピーして【】の中を自分の内容に置き換えて使ってください。字数の【300】も、場面に合わせて変えます。
【場面】の営業メールを書いてください。
【自分】会社名・部署・名前
【相手】会社名・部署・名前、これまでのやり取り(初めて/商談済み など)
【分かっていること】相手について確かな情報、商談のメモ(箇条書きでよい)
【目的】このメールで相手にしてほしいこと(面談の日程/資料を見てもらう など)
【条件】
- 件名と本文。本文は【300】字以内
- 私が書いていない数字・実績・約束・理由は足さない。必要なら【ここは確認して埋める】と空けておく
- 相手の状況を決めつけない
「足さない」の一文は、念のための備えです。今回は、ひと言だけで頼んだときも、実績の数字や期限のある約束を作ることはなく、そこは空欄で返ってきました。ただ、生成AIの答えに不正確な内容が混ざることは、提供している会社自身も注意しています(後半の「送る前に、人が必ず見るところ」で触れます)。
場面1から順に、ひと言だけの頼み方と、材料を渡す頼み方を並べます。
場面1 初めての相手にアポをお願いする
ひと言だけの頼み方
営業メールを書いて
Claude の出力(抜粋)
弊社では、【誰向け】に【サービス名】を提供しております。
【サービスでできること・解決できることを1〜2文で】
貴社の【Webサイト/採用ページ/ニュースなど、相手について知ったきっかけ】を拝見し、お役に立てる点があるのではと思い、ご連絡いたしました。
空欄だらけのひな形です。実績を勝手に書き足すことはなく、最後に「何を売っているか」「相手について分かっていること(なぜこの相手に送るのか)」などを教えてくれれば書き直す、と聞き返してきました。
ひな形としては使えます。ただ、いちばん大事な「なぜこの会社に連絡したのか」も【】のままで、埋めるのは自分です。AIが聞き返してきた中身を、最初から渡してしまうのが次の頼み方です。
材料を渡す頼み方
あなたは法人営業のメールを何百通も添削してきた先輩です。次の条件で、初めて連絡する相手へのアポイント依頼メールを書いてください。
【自分】株式会社サンプル物流(例)の営業、佐藤(例)
【相手】例示工業株式会社(例)総務部 ご担当者様。面識なし。相手の会社のWebサイトに載っている問い合わせ用アドレスあて
【紹介したいもの】中小企業向けの勤怠管理クラウド(例)。紙のタイムカードの集計の手間を減らせる
【相手について分かっていること】採用ページに「従業員約80名、工場と事務所の2拠点」とある。それ以外は知らない
【お願いしたいこと】30分のオンライン面談
【条件】
- 件名と本文。本文は300字以内
- 相手の課題を決めつけない。「〜でお困りではありませんか」で始めない
- 数字や実績は、私が書いたもの以外は入れない。必要なら【ここは確認して埋める】と空けておく
- 日程候補は【候補日】と空欄にする
- 最後に、今後の案内が不要な場合の連絡方法を1行入れる
Claude の出力(メール部分)
件名:勤怠管理クラウドのご紹介と30分面談のお願い(サンプル物流 佐藤)
本文:
例示工業株式会社
総務部 ご担当者様
突然のご連絡失礼いたします。
株式会社サンプル物流で営業を担当しております、佐藤と申します。
中小企業向けの勤怠管理クラウドをご紹介したく、貴社Webサイトのお問い合わせ先よりご連絡いたしました。紙のタイムカードの集計にかかる手間を減らせる仕組みです。
採用ページで、工場と事務所の2拠点で運営されていると拝見しました。拠点が分かれている場合の使い方も含め、30分ほどオンラインでご説明の機会をいただけないでしょうか。
【候補日】
今後のご案内が不要な場合は、本メールに「不要」とご返信ください。
採用ページで見た「2拠点」を渡したので、「なぜこの会社に連絡したか」が入りました。実績や導入社数も入っていません。
一方で、渡した「約80名」は本文に入りませんでした。AIはメールのあとの補足で、初回のメールで会社の規模を言い当てると身構えられることがあるため、と理由を書いています。渡した材料を全部使うとは限らないので、入れてほしい事実が入っているかは自分で見ます。
送る前に人が直すところ
- 署名(会社名・部署・名前・電話番号など)を付ける。今回の出力には署名が無く、AIも補足で「本文の下に別途付けてください」と書いていました
- 相手のWebサイトの問い合わせ先に送るなら、そのページに「営業目的のメールはお断り」といった表示がないか確かめる(理由は後半の「まとめて送るときの注意」で説明します)
場面2 商談のあとのお礼メール
ひと言だけの頼み方
商談のお礼メールを書いて
Claude の出力(抜粋)
【商談で印象に残った相手の話・課題を1〜2文で】というお話を伺い、弊社の【サービス名】がどのようにお役に立てるか、より具体的にイメージすることができました。
本日の内容を踏まえ、今後の進め方を以下のとおり整理いたしました。
■弊社からお送りするもの
・【資料名・見積書など】(【送付期限】までにお送りします)
失礼な文ではなく、送るものと期限も空欄になっていて、約束を勝手に決めてはいません。ただ、商談の中身はすべて【】です。AIは最後に、商談の日付、話した内容のメモ、こちらの宿題、次回の予定を教えてほしいと聞き返してきました。欲しがっているのは、やはり材料です。
材料を渡す頼み方
商談のメモを箇条書きのまま貼り、「メモ以外は足さない」と書きます。
今日の商談のお礼メールを書いてください。下のメモに書いてあること以外は足さないでください。
【相手】例示工業株式会社(例)総務部 田中様(例)
【メモ】
- 10/2 14時からオンラインで45分
- 今は紙のタイムカード。月末の集計に総務2名で丸2日かかっていると田中様の話
- 気にしていたのは、工場のパート社員がスマホを持っていない場合の打刻方法
- こちらの宿題:共用端末での打刻方法の資料を10/7までに送る
- 次回:部長同席で10月中旬にもう一度説明。日程は田中様が調整して連絡をくれる
【条件】
- 件名と本文。本文は250字前後
- 宿題と次の予定がひと目で分かるようにする
- 「大変」「誠に」を何度も使わない
Claude の出力(メール部分)
件名:10/2のお打ち合わせのお礼
本文:
例示工業株式会社
総務部 田中様
本日はオンラインで45分お時間をいただき、ありがとうございました。
紙のタイムカードで、月末の集計に総務の2名で丸2日かかっているとのお話、よく分かりました。
また、工場のパート社員の方がスマホをお持ちでない場合の打刻方法について、ご懸念を伺いました。
■弊社からの宿題
・共用端末での打刻方法の資料を、10/7までにお送りします
■次回
・部長様ご同席で、10月中旬に改めてご説明
・日程は田中様からのご連絡をお待ちしております
引き続きよろしくお願いいたします。
【会社名・氏名】
メモの数字(45分・2名・丸2日・10/7・10月中旬)がそのまま入り、足された約束はありませんでした。メモに無い自分の会社名と名前は【会社名・氏名】と空けてあります。
気になったのは「■弊社からの宿題」です。メモに書いた社内の言い方が、相手に出す文にそのまま残りました。「弊社からお送りするもの」など、相手向けの言葉に直してから送ります。
場面3 断られた相手へのフォロー
ひと言だけの頼み方
失注した相手にもう一度提案するメールを書いて
Claude の出力(抜粋)
その後、弊社では【変わった点:新プラン・機能追加・価格改定・サポート体制など】を行いました。
(中略)
もし現在、【相手が抱えていそうな状況:運用の見直し・契約更新の時期など】をお考えでしたら、30分ほど最新の内容をご説明させていただけないでしょうか。
新しい機能や料金の見直しを作り話で書くことはなく、【変わった点】の空欄になっていました。ただ、ひな形は「何かが変わった」前提で、30分の説明をお願いする形です。AI自身も、変わった点が特にないなら、役立つ情報の共有などで関係をつなぐメールのほうが無難だと添えていました。断られた相手に「30分ください」と頼むのは、相手によっては押しが強く感じられます。
材料を渡す頼み方
目的を「売り込み」から「関係を切らさないこと」に変え、渡すものを1つ決めておきます。
2か月前に失注した相手へのフォローメールを書いてください。
【相手】例示工業株式会社(例)総務部 田中様(例)
【状況】8月に他社の勤怠システムに決まった。理由は「価格」と聞いている
【目的】売り込みではなく、関係を切らさないこと
【渡したいもの】弊社が作った「拠点が複数ある会社の打刻ルールの決め方」チェックリスト(無料PDF。どのシステムでも使える内容)
【条件】
- 本文200字前後
- 他社の製品を悪く言わない。乗り換えを勧めない
- 返信を求めない書き方にする
Claude の出力(メール部分)
件名:複数拠点の打刻ルールづくりのチェックリストをお送りします
本文:
例示工業株式会社
総務部 田中様
ご無沙汰しております。【会社名】の【氏名】です。
その節はご検討いただき、ありがとうございました。
このたび弊社で、「拠点が複数ある会社の打刻ルールの決め方」をまとめたチェックリストを作成しました。どの勤怠システムでもお使いいただける内容ですので、運用ルールを見直される際などにお役立ていただければと思い、お送りします。
【PDFの添付、またはダウンロードURL】
ご返信には及びません。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
乗り換えの話も他社の話も入らず、「役に立つものを置いていく」メールになりました。失注の理由(価格)にも触れていません。自分の名前はプロンプトに書かなかったので、【会社名】【氏名】と空けてあります。
場面4 値上げ(料金改定)のお知らせ
ひと言だけの頼み方
値上げのお知らせメールを書いて
Claude の出力(抜粋)
■改定の理由
【理由:原材料費・仕入れ価格・人件費・システム運用費の上昇など、実際の理由を具体的に】
これまで【コスト削減の取り組みなど】により現行価格の維持に努めてまいりましたが、品質とサービス体制を保つため、やむを得ず改定させていただく判断に至りました。
理由は空欄で、「実際の理由を具体的に」と書かれていました。ただ、その下には「現行価格の維持に努めてまいりました」という一文が最初から入っています。AIは「実際に取り組んでいない場合は削除してください」と添えていましたが、読み飛ばすとそのまま送ってしまいます。ひな形の決まり文句は、自社に当てはまるか1文ずつ確かめます。
材料を渡す頼み方
理由は会社の正式な発表どおりに渡し、「送る前に確かめる点」もAIに出させます。
既存のお客様へ、料金改定のお知らせメールを書いてください。
【自分】株式会社サンプル物流(例)カスタマーサクセス担当 佐藤(例)
【相手】勤怠管理クラウド(例)を契約中のお客様。担当先に1社ずつ送る
【改定内容】月額料金を【旧価格】から【新価格】へ。【改定日】から。年契約のお客様は、契約期間中は今の料金のまま
【理由】サーバー費用とサポート体制の人件費が上がったため(会社の公式発表の文言:【公式文言を貼る】)
【条件】
- 本文350字以内
- 理由は上の内容だけを使う。物価高など、私が書いていない理由を足さない
- 謝りすぎない。相談窓口を1つはっきり書く
- メールのあとに、送る前に人が確かめるべき点を箇条書きで5つ挙げる
Claude の出力(メール部分)
件名:【勤怠管理クラウド】月額料金改定のお知らせ
本文:
【お客様の会社名】
【ご担当者名】様
いつも勤怠管理クラウドをご利用いただき、ありがとうございます。
株式会社サンプル物流 カスタマーサクセス担当の佐藤です。
このたび、【改定日】より、月額料金を【旧価格】から【新価格】へ改定いたします。
サーバー費用およびサポート体制の人件費が上がったことによるものです。
【公式文言を貼る】
なお、年契約のお客様は、現在の契約期間中は今の料金のままご利用いただけます。
ご負担をおかけしますが、ご理解いただけますと幸いです。
ご不明な点やご相談は、下記の窓口までお寄せください。
【相談窓口:窓口名/メールアドレス/電話番号/受付時間】
引き続きよろしくお願いいたします。
Claude の出力(メールのあとに出した「送る前に人が確かめるべき点」)
- 【旧価格】【新価格】【改定日】が公式発表と一致しているか。税込・税抜の表記がそろっているか
- 送り先のお客様が月契約か年契約か。年契約なら、契約期間の終了日(新料金になる時期)を個別に書き添える必要がないか
- 【公式文言を貼る】に入れた文が公式発表のとおりで、本文の理由(サーバー費用・サポート体制の人件費)と食い違っていないか
- 相談窓口の連絡先が正しく、改定のお知らせ後に問い合わせが増えても受けられる体制になっているか
- 宛名(会社名・担当者名)が送り先ごとに正しく差し替わっているか。ほかのお客様の名前が残っていないか
理由は渡した2つだけで、物価高などは足されませんでした。お詫びにあたる文は「ご負担をおかけしますが、ご理解いただけますと幸いです。」の1文です。相談窓口は【】の空欄なので、自分で埋めます。
最後の「送る前に人が確かめるべき点」は、自分のチェック漏れに気づくきっかけになります。ただ、契約書で決まっている通知の期限など、会社ごとの決まりはAIには分かりません。AIが挙げた5つで全部とは考えないでください。
場面5 自分で書いた下書きを直してもらう
一から書かせるより、自分の下書きを直してもらう方が早い場面もあります。直した理由も一緒に出させると、次から自分で気をつけられます。
次は私が書いた営業メールの下書きです。敬語の誤りを直し、全体を2割ほど短くしてください。
内容(日付・数字・約束)は変えないでください。直した箇所は、あとで理由を添えて箇条書きで示してください。
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田中様
お世話になっております。サンプル物流の佐藤でございます。
先日は、お忙しい中にも関わらずお時間を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。
田中様が申されていた共用端末の件ですが、資料の方をご用意させていただきましたので、添付させていただきます。
ご拝読いただけましたら幸いです。
また、10月中旬のご説明の件につきましては、部長様のご都合をお伺いになっていただけますでしょうか。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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Claude の出力(直したメールと、理由の一部)
田中様
お世話になっております。サンプル物流の佐藤です。
先日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。
田中様がおっしゃっていた共用端末の件について、資料を添付いたします。
ご確認いただけましたら幸いです。
また、10月中旬のご説明について、部長のご都合をご確認いただけますでしょうか。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(中略)
直した箇所と理由
- 「申されていた」→「おっしゃっていた」
「申す」は自分側がへりくだる謙譲語なので、相手の行動に使うのは誤りです。相手が言ったことには尊敬語の「おっしゃる」を使います。
- 「ご拝読いただけましたら」→「ご確認いただけましたら」
「拝読」は「自分が読む」ことをへりくだる謙譲語で、相手に読んでもらう場面では使えません。「ご確認」または「お目通し」が適切です。
- 「お伺いになっていただけますでしょうか」→「ご確認いただけますでしょうか」
「伺う」(謙譲語)に「お〜になる」(尊敬語)と「いただく」が重なり、敬語として成り立っていません。また、田中様が社内の部長に聞く行為なので、こちらから謙譲語で表すのも不自然です。「ご確認いただけますでしょうか」で十分丁寧です。
- 「部長様」→「部長」
「部長」は役職名でそれ自体に敬意を含むため、「様」を重ねるのは二重敬語とされることがあります。気になる場合は「部長の○○様」と名前に「様」を付ける形にしてください。
(後略)
下書きに入れておいた敬語の誤り3か所(申されて・ご拝読・お伺いになって)は、すべて直り、理由も添えられていました。宛名を除く本文は、数えると204字から160字へ。頼んだとおり2割ほど短くなっています。日付・約束も変わっていません。
一方で、「部長様」が「部長」に変わっていました。AI自身も「二重敬語とされることがあります」という書き方で、誤りとは言い切っていません。取引先の部長をどう呼ぶかは会社の慣習にもよります。「敬語の誤りを直して」と頼むと、こうした判断の分かれる直しも混ざります。直してもらった文は、元の文と並べて読んでください。
送る前に、人が必ず見るところ
5つの場面を通して、AIが出した文で人が見る必要があったのは、だいたい次の5か所でした。
| 見るところ | 試した中で起きたこと |
|---|---|
| ひな形の決まり文句 | 値上げのひな形に「現行価格の維持に努めてまいりました」が最初から入っていた |
| 空欄 | ひと言だけの頼み方は、相手の名前も理由も【】のまま。材料を渡しても、署名・自分の名前・相談窓口・日付は空欄や未記入 |
| 渡した材料が入っているか | アポのメールで、渡した「約80名」が使われなかった |
| 社内の言い方 | お礼メールに「弊社からの宿題」が残った |
| 頼んでいない直し | 添削で「部長様」が「部長」に変わった |
今回は、実績の数字や期限のある約束、値上げの理由をAIが作り話で書くことはありませんでした。ただ、いつもそうなるとは限りません。生成AIの答えに不正確な内容が混ざることは、提供している会社自身も注意として書いています。Anthropic は公式ヘルプで、Claude は誤った内容や誤解を招く答えを出すことがあり、唯一の情報源にしないよう案内しています。 個人情報保護委員会の2023年6月の注意喚起にも、生成AIの応答には不正確な内容が含まれることがある、という一文があります。
場面5では敬語の誤り3か所が正しく直りましたが、社内の慣習(どこまで硬く書くか、「部長様」と書くか)はAIには分かりません。最後に一度、声に出して読むくらいの確認はしておくと安心です。
AIに入れない方がいい情報
商談メモをそのまま貼ると、相手の名前や連絡先、ときには個人的な事情まで入ってしまいます。
個人情報保護委員会は、事業者が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、その個人情報を使う目的の範囲内か十分に確かめるよう求めています。
また、本人の同意なく個人データを入力し、それが応答以外の目的(たとえばAIの学習)に使われる場合は、個人情報保護法に違反するおそれがある、という注意です。
実際に使うときは、次の順で確かめると迷いにくくなります。
- 会社のルールを見る。 生成AIの利用ルールがあれば、それが最優先です。会社で契約しているAIがあるならそちらを使います
- 入れる情報を減らす。 相手の名前や会社名は「Aさん」「B社」に置き換えても、メールの骨組みは作れます。名前は最後に自分で入れます
- 自分のアカウントの設定を見る。 会話を学習に使うかどうかは、サービスと設定によって違います。たとえば ChatGPT には、設定の「Data controls」(英語の画面での名前)に、会話をモデルの改善に使うかを選ぶ項目があります。Claude の個人向けプランでは、プライバシー設定で選べます。Gemini のプライバシーの案内では、レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう書かれています
画面の名前や中身は変わることがあるので、使う前に各社のヘルプで最新の案内を確かめてください。
まとめて送るときの注意(特定電子メール法)
AIで文面を作れるようになると、同じ文を何十社にも送りたくなります。ここで知っておきたいのが特定電子メール法です。
この法律の対象は、会社などが自社や取引先などの営業について、広告や宣伝のために送るメールです。総務省の案内では、こうしたメールは原則として、あらかじめ同意した相手にだけ送れることになっています。
同意がなくても送れる例外として、総務省は次のような場合を挙げています。
- 取引関係にある相手
- 名刺などの書面でメールアドレスを知らせてくれた相手
- 自分のメールアドレスをインターネットで公表している相手(ただし、あわせて「広告や宣伝のメールは送らないで」と公表している場合は送れない)
送るときには、送信者の氏名または名称、受信を断るための連絡先(メールアドレスかURL)、住所、問い合わせ先などを表示することが求められています。一度「もう送らないで」と言われた相手には、以後送れません。
場面1のプロンプトに「案内が不要な場合の連絡方法」を入れたのは、このためです。ただ、これだけで表示の決まりを全部満たすわけではありません。
1通ずつ手で書く営業メールも、メールの中身や送り方によっては、この法律の対象に当たる場合があります。リストの宛先に一斉に送るような使い方を考えているなら、事前に社内の法務や総務に確かめてください。違反には罰則もあります。
自分の仕事に合わせて、もう少し学びたいなら
ここまでのプロンプトは、そのままでも使えます。毎日の仕事で生成AIを使い続けると、「資料づくりや議事録にも使いたい」「会社としてやり方をそろえたい」など、頼みたい場面が増えていきます。
体系的に学ぶ場を探すなら、使いたい場面と予算から選ぶと、合わない講座を避けやすくなります。選ぶときに見るところは、生成AIスクールの選び方にまとめています。
営業のほかの場面(提案資料・リスト作り・ロープレ・日報)での使い方は、営業で生成AIは何ができる?場面別の活用例と、実際に試したプロンプトで場面ごとに紹介しています。
出典
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)https://www.ppc.go.jp/news/press/2023/230602kouhou/
- 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(e-Gov 法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0100000026
- 総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/m_mail_pamphlet.pdf
- Anthropic「Is my data used for model training?」(2026年10月2日閲覧)https://privacy.claude.com/en/articles/10023580-is-my-data-used-for-model-training
- Claude ヘルプセンター「Claude is providing incorrect or misleading responses. What’s going on?」(2026年10月2日閲覧)https://support.claude.com/en/articles/8525154-claude-is-providing-incorrect-or-misleading-responses-what-s-going-on
- Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」(2026年10月2日閲覧)https://support.google.com/gemini/answer/13594961?hl=ja
- OpenAI「Data controls in ChatGPT」(2026年10月2日閲覧)https://help.openai.com/en/articles/7730893-data-controls-in-chatgpt
- 試したプロンプトと出力: 越境つばめ編集部が Claude(Anthropic)の Claude Opus 5.5 で試行(2026年10月3日。プロンプトごとに新しい会話)