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ChatGPTなど生成AIで提案資料・営業資料を作成する。骨子のプロンプトと、AIに作らせてはいけない所

ChatGPTなどの生成AIで提案資料・営業資料を作るプロンプトを、骨子・課題整理・比較表・想定質問・見出しの5手順で、実際の出力つきで紹介。人が直す所と、AIに作らせてはいけない所も。

目次を開く 28項目

ヒアリングはできたのに、資料で手が止まる

よくある悩みの例を1つ挙げます(実在の人ではありません)。Bさん(想定)は30代半ば、中堅企業向けに業務システムを売っている法人営業です。お客さまの話を聞くところまでは順調なのに、そのあとの提案資料づくりで毎回止まります。上司からは「役員会に出せる資料を」と言われますが、何枚目に何を書くかという段階から迷ってしまいます。

生成AIにも頼んでみましたが、質問が返ってきて、何をどこまで渡せばいいのか分かりませんでした。出てきた中身をどこまで信じていいのかも分からず、そこで手が止まっています。

この記事では、提案資料づくりのどこを生成AIに任せ、どこを自分で作るかを、試した結果つきで紹介します。

先に答えを書いておきます。生成AIに任せやすいのは、スライドの並び(骨子)、聞いた話の整理、見出しの言い回し、聞かれそうな質問の洗い出しです。これらを任せるには、ヒアリングのメモを材料として渡します。効果の数字、導入事例、他社の情報、ロゴや図版は、AIに作らせずに人が用意します。

試した条件

  • 使った AI: Claude(Anthropic)の Claude Opus 5.5。2026年10月3日に試しました
  • この記事の狙いを伝えていない会話で、プロンプトをそのまま入れています(手順2の2本目は、本文ではメモの5行を省いて見せています。試したときはメモを貼っています)
  • ChatGPT や Gemini では試していません。同じプロンプトでも、AI の種類や時期によって出力は変わります。同じ AI でも、違う答えが返ってくることがあります
  • どのプロンプトも1回ずつ試した結果です。ほかの回で同じ答えになるとは限りません
  • 会社名・人名・商品はすべて架空です(「例示食品株式会社(例)」「例示ストック(例)」など)
  • 出力は手直しせずに載せています。長いものは抜粋しています。表は何行のうち何行を載せたかを、文章は省いた所を「(中略)」「(後略)」で示しています

ここで紹介するプロンプトは、ChatGPT・Claude・Gemini など、文章を作る生成AIならどれにも貼って使える書き方にしています。

まず、ヒアリングのメモを用意する

提案資料の中身は、お客さまから聞いた話です。生成AIは相手の会社のことを知らないので、この材料がないと、どの会社にも当てはまる資料しか作れません。

この記事では、次の架空のメモを使います。箇条書きで十分です。

【相手】例示食品株式会社(例)業務部 部長 山本様(例)。食品の卸。従業員は約120名、倉庫は2か所
【今のやり方】在庫はExcelで管理。倉庫ごとに別のファイル。月末の棚卸しで数が合わず、毎月調べ直している(山本様の話)
【困っていること】欠品に気づくのが遅れて、取引先への納品が遅れたことが今年2回あった(山本様の話)
【決め方】来年4月から新しい仕組みにしたい。決めるのは12月の役員会。予算はまだ決まっていない
【気にしていること】倉庫で働く人はパソコンに慣れていない人が多い
【自社の商品】クラウド型の在庫管理サービス「例示ストック(例)」。スマホでバーコードを読んで入庫・出庫を記録する。複数の倉庫の在庫を1つの画面で見られる。月額料金は使う人数で決まる(見積もりは別に出す)

「(山本様の話)」のように、誰が言ったことかを残しておくと、あとで資料に書いてよい事実かどうかを見分けやすくなります。

実際のお客さまの名前や社名をAIに入れてよいかは、会社のルールによります。後半の「AIに入れない方がいい情報」も先に読んでおいてください。

手順1 骨子(スライドの並び)を作る

材料なしで頼んだ場合

提案資料を作って

Claude の出力(抜粋)

提案資料づくり、お手伝いします。中身に合わせて作りたいので、まず次のことを教えてください。分かるところだけで大丈夫です。

1. 誰に出すものですか(会社名・部署・役職、社内向けか社外向けか)
2. 何を提案しますか(商品・サービス・企画・業務改善など)
3. 相手は今どんなことに困っていますか(ヒアリングのメモがあれば、そのまま貼ってください)
(中略)
6. 使える材料(料金・スケジュール・実績・導入事例など、手元にあるもの)
(後略)

質問のあとに、「表紙・結論・現状・課題・解決策・進め方・スケジュール・費用・期待できる効果・次の一歩」という一般的な10枚の並びが付いていました。効果の欄は「変化の見込み(根拠とあわせて)」となっていて、数字は入っていません。

今回の出力では、AIは材料なしで中身を作らず、先に材料を求めてきました。並びは型としては使えますが、どの会社にも当てはまる形です。AIが聞いてきた「相手の困りごと」「使える材料」が、次の頼み方で渡す材料です。

メモを渡して頼んだ場合

メモを貼り、読む人と「作らないもの」を指定します。

次のヒアリングのメモをもとに、提案資料の骨子(スライドの並び)を作ってください。

【相手】例示食品株式会社(例)業務部 部長 山本様(例)。食品の卸。従業員は約120名、倉庫は2か所
【今のやり方】在庫はExcelで管理。倉庫ごとに別のファイル。月末の棚卸しで数が合わず、毎月調べ直している(山本様の話)
【困っていること】欠品に気づくのが遅れて、取引先への納品が遅れたことが今年2回あった(山本様の話)
【決め方】来年4月から新しい仕組みにしたい。決めるのは12月の役員会。予算はまだ決まっていない
【気にしていること】倉庫で働く人はパソコンに慣れていない人が多い
【自社の商品】クラウド型の在庫管理サービス「例示ストック(例)」。スマホでバーコードを読んで入庫・出庫を記録する。複数の倉庫の在庫を1つの画面で見られる。月額料金は使う人数で決まる(見積もりは別に出す)

【条件】
- スライドは10枚以内。読むのは12月の役員会に出る人たち
- 各スライドに「見出し」「このスライドで伝えること(1行)」「必要な材料」を書く
- 結論を2枚目に置く
- メモにない数字・実績・導入事例は作らない。必要なところは[確認]と書いて空けておく
- 本文の文章はまだ書かない

Claude の出力(9枚のうち5枚を抜粋。表のあとの補足は省略)

#見出しこのスライドで伝えること(1行)必要な材料
2結論:2つの倉庫の在庫を1つの画面で見られる仕組みに、来年4月から切り替えることをご提案します提案の中身と、役員会で決めてほしいこと(導入するかどうか)を最初に示す提案の要約(例示ストック(例)の導入)、切り替え時期(来年4月)、本日決めていただきたいこと、費用の概算[確認:見積もり]
4課題①:月末の棚卸しで数が合わず、毎月調べ直しが発生しています今のやり方で毎月手間がかかっていることを示す山本様の話(棚卸しで数が合わない・毎月調べ直し)、調べ直しにかかる時間・人数[確認]、数が合わない原因の見立て[確認]
5課題②:欠品に気づくのが遅れ、今年は2回、取引先への納品が遅れました在庫の見えにくさが取引先への影響まで出ていることを示す山本様の話(今年2回の納品遅れ)、それぞれの経緯・取引先への影響[確認]
7現場の使いやすさ:パソコンに慣れていない方でも、スマホで記録できるようにします現場の不安(パソコンに慣れていない人が多い)への答えを示すスマホでの操作画面、操作の手順の数[確認]、導入時の説明・研修の進め方[確認]、問い合わせ窓口[確認]
9費用:月額料金は使う人数で決まります費用の決まり方と、見積もりの金額を示す見積もり(別途)[確認]、使う人数の想定[確認:山本様に確認]、初期費用の有無[確認]、予算化の進め方[確認]

残りの4枚は、表紙、現状、解決策、進め方でした。

メモにあった事実(2倉庫・Excel・月末の調べ直し・今年2回・4月・役員会・パソコンに不慣れ)が、それぞれのスライドに割り振られています。調べ直しの時間や見積もりのように数字が要る所は、[確認]で空いたまま返ってきました。表のあとの補足には、断り書きもありました。「欠品に早く気づく」ための機能はメモに書かれていないので[確認]にしたこと、製品にある場合だけ載せてほしいこと、の2点です。

「必要な材料」の列は、そのまま次の作業のリストになります。たとえば5枚目の「それぞれの経緯・取引先への影響」は、役員会の資料に書いてよいかも含めて、山本様に確かめる宿題です。

人が直すところ

  • 7枚目の「パソコンに慣れていない方でも、スマホで記録できるようにします」は、自社の商品についての約束です。現場で試してもらうなど、そう言える根拠があるかは自分で判断します
  • [確認]の所は、自社の資料と相手への質問で埋めます。AIに埋めさせません

手順2 相手の課題を整理する

材料なしで頼んだ場合

例示食品株式会社(例)という食品卸の会社に在庫管理システムを提案します。この会社の課題を考えて

Claude の出力(抜粋)

例示食品株式会社(例)の具体的な情報(規模、倉庫の数、今の管理方法など)はいただいていないので、ここでは食品卸の会社によくある在庫管理の課題を、仮説として挙げます。実際にどれが当てはまるかは、ヒアリングで確かめてください。

(中略)

3. 欠品と過剰在庫
- 欠品に気づくのが遅れ、取引先への納品が遅れる
- 欠品を恐れて多めに仕入れ、在庫が膨らむ(特に日持ちしない商品で廃棄につながる)
- 季節やイベントで需要が大きく変わる商品の発注量を、担当者の勘に頼っている
(後略)

賞味期限・ロットの管理、数が合わない、欠品と過剰在庫、人と作業、温度帯、社内外とのやりとり、という6つの分類で、食品卸によくある課題が並びました。AIは「仮説として」とはっきり断り、最後に「ヒアリングで確かめるとよいこと」の一覧も付けています。

ヒアリングの前に「聞くことの候補」を出すには使えます。ただし、ここに並んだのは業界の一般論で、この会社から聞いた話ではありません。資料の「貴社の課題」にそのまま貼ると、相手にとっては決めつけになります。

メモを渡して頼んだ場合

聞いた話と、AIの推測を分けて出させます。

次のヒアリングのメモから、相手の課題を整理してください。

(ここに、上のメモの【相手】〜【気にしていること】の5行をそのまま貼る)

【条件】
- 表で「相手が言ったこと」「そこから考えられること(仮説)」「次の商談で確かめること」の3列に分ける
- 「相手が言ったこと」にはメモの内容だけを書く。言い換えて意味を変えない
- 仮説は仮説と分かる書き方にする
- 最後に、提案資料の「困っていること」のスライドに載せてよいのはどの行かを書く

Claude の出力(6行のうち3行を抜粋)

#相手が言ったことそこから考えられること(仮説)次の商談で確かめること
2月末の棚卸しで数が合わず、毎月調べ直している入庫・出庫の記録漏れや入力のずれが、月末まで気づかれずにたまっているのではないか数が合わない原因の見当はついているか。調べ直しに毎月どれくらいの時間・人数がかかっているか。ずれはどのくらいの大きさか
3欠品に気づくのが遅れて、取引先への納品が遅れたことが今年2回あった在庫の数が日々の記録に追いついておらず、「まだある」と思っていた商品が実際にはなかったのかもしれない2回はそれぞれどんな経緯だったか。取引先への影響(注意を受けた・取引に響いた等)はあったか。今は欠品をどうやって見つけているか
6倉庫で働く人はパソコンに慣れていない人が多い新しい仕組みが現場に使われず、結局記録がずれるのではないか、という不安を山本様が持っているのではないか倉庫の人数と、スマホは使い慣れているか。今のExcelへの入力はだれがしているか。導入時の説明はどんな形なら受け入れられそうか

表のあとには、次のような答えが付いていました(抜粋)。

(前略)
- 2行目(棚卸しで数が合わず、毎月調べ直している)と3行目(欠品に気づくのが遅れ、今年2回納品が遅れた)は、山本様ご本人が困りごととして話した内容なので、そのまま載せられます。
- 1行目(倉庫ごとに別のExcelファイル)は困りごとそのものではなく「今のやり方」なので、困っていることの背景として添えるか、「現状」のスライドに置くのが自然です。
- 「仮説」の列は、次の商談で確かめるまで載せないでください。確かめて山本様が認めたものだけ、事実として載せられます。
(後略)

左の列が、資料に書いてよい事実です。真ん中の列はAIの推測なので、資料に入れるなら「〜ではないでしょうか」と問いかける形にするか、次の商談で確かめてからにします。確かめてから載せる点は、AIも同じことを書いていました。

右の列は、次の商談の質問リストとして使えます。ただし「取引先への影響(注意を受けた・取引に響いた等)」は、相手によっては答えにくい質問です。聞くかどうか、どう聞くかは自分で決めます。

手順3 比較表を作る

材料なしで頼んだ場合

自社の在庫管理サービスと、他社のサービス2つを比べた表を作って。他社はA社とB社

Claude の出力(抜粋)

比較表の枠を作りました。ただ、自社のサービスとA社・B社のサービスの中身(機能・料金など)をまだうかがっていないので、中身は空けてあります。私が推測で埋めると、事実と違う比較表になってしまうためです。
(後略)

このあとに、「提供の形」「入庫・出庫の記録方法」「複数の倉庫の在庫をまとめて見られるか」「料金の決まり方」「導入にかかる期間」など12項目からなる、中身が空の表が続きました。さらに、お客様に見せるときの注意として、次の2点が付いています。

- 他社の情報は公開されているものだけを使い、確認した日付と出どころを書いておくと安心です。古い情報や不確かな情報で他社を不利に書くと、信用を落としたり、トラブルの元になったりします。
- 自社が有利な項目ばかり並べると、かえって信用されにくくなります。自社が負けている項目も残しておくと、表全体を信じてもらいやすくなります。

今回の出力では、AIは自社も他社も推測で埋めず、空の枠を返してきました。項目の候補としては使えますが、このままでは表になりません。中身はこちらで渡す必要があります。

材料を渡して頼んだ場合

他社の列は空けさせ、比べる相手に「今のやり方」を入れます。

提案資料に入れる比較表の「枠」を作ってください。

【比べるもの】自社の「例示ストック(例)」と、相手が今使っているExcelでの管理。もう1列、相手が検討しているかもしれない他社サービス用の空の列を置く
【比べる項目】相手が気にしていることから選ぶ。相手が気にしているのは「2つの倉庫の在庫をまとめて見たい」「欠品に早く気づきたい」「倉庫の人がパソコンに慣れていない」「来年4月に切り替えたい」「予算はまだ決まっていない」
【自社について分かっていること】スマホでバーコードを読んで入庫・出庫を記録する。複数の倉庫の在庫を1つの画面で見られる。月額料金は使う人数で決まる
【条件】
- 他社の列は空けておき、各マスに[確認]と書く。他社について推測で書かない
- 自社の列も、上に書いたこと以外は[確認]にする
- 記号(◎○△)は使わず、短い言葉で書く
- 自社が不利になりそうな項目も1つ以上残す

Claude の出力(表は全行。表のあとの補足は省略)

比べる項目(相手が気にしていること)例示ストック(例)今のExcelでの管理他社サービス(検討中の場合)
2つの倉庫の在庫をまとめて見られるか1つの画面で見られる[確認](今の運用を相手に確認)[確認]
欠品に早く気づけるか[確認][確認](今どうやって気づいているかを相手に確認)[確認]
倉庫での記録のしかたスマホでバーコードを読んで記録[確認](だれがどの端末で入力しているかを相手に確認)[確認]
パソコンに慣れていない人への導入時の支援[確認]新しく覚えることはない[確認]
来年4月までに切り替えられるか(準備にかかる期間)[確認]切り替えは不要(今のまま)[確認]
月々の費用月額料金がかかる(使う人数で決まる。金額は[確認])新たな月額料金はかからない[確認]
使う人が増えたときの費用人数に応じて月額料金が上がる変わらない[確認]
初期費用[確認]かからない[確認]

他社の列はすべて[確認]、自社の列も渡した3つの事実以外は[確認]で返ってきました。Excel の列も、相手のやり方にかかわる所は「相手に確認」と書いて空けています。

「今のExcel」を比べる相手にしたので、他社の情報がなくても表として成り立っています。補足では、費用や新しく覚えることの量など、Excel の方が有利な5つの行を「隠さず見せる」項目として残したと説明していました。役員会で聞かれそうな所を先に出しておけます。

人が直すところ

  • 他社の列を埋めるなら、その会社の公式サイトや公式の資料で確かめたことだけを書きます。いつ確かめたかも残しておきます
  • 「欠品に早く気づけるか」の自社の列は、自社の商品の資料で確かめます。AIはこの機能があるかどうかを知りません。相手がいちばん気にしている行なので、ここが埋まるかどうかで表の説得力が変わります

手順4 聞かれそうな質問を洗い出す

材料なしで頼んだ場合

提案のときに聞かれそうな質問と、その答えを作って

Claude の出力(抜粋)

(前略)
3. 「効果は本当に出ますか?」
- 答え方:根拠を示す(導入事例・試用の結果・仕組みの説明)。数字がない場合は無理に作らず、試しに使ってみる方法を提案する。
- 例:「同じような規模の会社での事例は〜です。」/「まず1か所だけで○か月試していただき、効果を確かめる方法もあります。」
(中略)
準備のコツ
- 答えに使う数字・事例は、自社の資料で確かめられるものだけにしてください。その場で分からない質問には「確認して○日までにお返事します」と答えるほうが信用されます。
(後略)

「なぜ今やる必要があるのか」「費用」「効果」「他社との違い」「現場で使えるか」「導入期間」「解約」「セキュリティ」の8つの質問に、答え方と例文が付いていました。例文の数字や中身は「○」「△△」「〜」と空けてあります。

今回の出力では、答えの中身をAIが決めることはありませんでした。質問の一覧と答え方の型としては使えます。例文の空欄を埋めるときは、自社の資料で確かめたことだけを入れます。

材料を渡して頼んだ場合

答えは書かせず、「答えるのに必要な材料」と「どこで確かめるか」を書かせます。

12月の役員会で、私の提案に対して出そうな質問を考えてください。

【提案】例示食品株式会社(例)に、在庫管理サービス「例示ストック(例)」を提案する。今は倉庫ごとのExcelで管理している
【役員会に出る人(想定)】社長、経理の担当役員、倉庫を見ている役員
【条件】
- 出る人ごとに、出そうな質問を3つずつ
- 答えは書かない。代わりに「答えるのに必要な材料」と「その材料をどこで確かめるか(自社の資料/相手に聞く)」を書く
- 最後に、いちばん答えに詰まりそうな質問を1つ選び、理由を書く

Claude の出力(3人のうち1人分と、最後の答えを抜粋)

倉庫を見ている役員

#出そうな質問答えるのに必要な材料どこで確かめるか
1倉庫の人はパソコンに慣れていないが、本当に使えるのかスマホでの操作の手順・画面、導入時の研修や説明の内容、問い合わせの窓口自社の資料(操作マニュアル・研修メニュー)+相手に聞く(倉庫の人数・スマホへの慣れ)
2切り替えのとき、倉庫の作業は止まらないのか。今のExcelのデータはどうするのかデータ移行の方法・期間、切り替えの手順、並行して使う期間の考え方自社の資料(導入の手順書)+相手に聞く(Excelのデータの形・繁忙期)
3機械(スマホ・バーコード)が壊れたり、電波が届かなかったりしたらどうするのか必要な端末、通信が切れたときの動き、障害時の対応自社の資料(動作環境・障害時の対応)+相手に聞く(倉庫の通信環境・バーコードが付いているか)
いちばん答えに詰まりそうな質問

経理の担当役員の2「払うお金に見合う効果はあるのか」

理由:
- 費用は自社の資料で答えられますが、効果の側は、相手の今の手間や損失(棚卸しの調べ直しに何時間かかっているか、納品遅れでどんな影響が出たか)が分からないと示せません。これは相手に聞かないと手に入らない材料で、今の時点ではそろっていない可能性が高いです。
(中略)
- 対策として、役員会の前に業務部の担当の方と、今の手間(時間・人数)を一緒に数えておくのがおすすめです。(後略)

答えの代わりに「材料」と「確かめる先」を書かせたので、出力の中身は「何を用意すればよいか」の一覧になりました。「電波が届かなかったら」「バーコードが付いているか」は、プロンプトに書いていない観点です。一人で考えると抜けやすい質問を拾うのに使えます。

社長の質問には「同じような会社で、うまくいった例はあるのか」も挙がっていて、確かめる先は「自社の資料(導入事例。掲載の許可も確認)」でした。事例がない場合にどう答えるかは、役員会の前に決めておきます。

洗い出した質問に声に出して答える練習は、生成AIにお客さま役を頼んでもできます。頼み方は営業ロープレをAI相手に一人で練習する。お客さま役のプロンプトと、実際にやってみた往復で紹介しています。

手順5 見出しを「言い切り」に直す

役員会の資料は、見出しだけ流し読みされることがあります。「現状」「課題」「解決策」のような項目名を、1文で中身が分かる見出しに直してもらいます。

提案資料のスライドの見出しを直してください。今は「現状」「課題」「解決策」「導入スケジュール」「費用」のように、項目名だけになっています。
見出しだけ読めば話の流れが分かるように、1文の言い切りに直してください。

【使ってよい事実】
- 倉庫ごとのExcelで在庫を管理している
- 月末の棚卸しで数が合わず、毎月調べ直している
- 欠品に気づくのが遅れ、今年2回納品が遅れた
- スマホでバーコードを読んで記録し、2つの倉庫の在庫を1つの画面で見られるようにする
- 来年4月の切り替えを目指す。12月の役員会で決める
- 月額料金は使う人数で決まる

【条件】
- 1つの見出しは25字以内
- 上の事実にないことは書かない
- 案を2つずつ出す

Claude の出力(表は全行。表のあとの説明は省略)

今の見出し案A案B
現状在庫は倉庫ごとのExcelで別々に管理している(21字)2つの倉庫の在庫を別々のExcelで管理している(23字)
課題棚卸しの数が合わず、欠品の発見も遅れている(21字)欠品の発見が遅れ、今年2回納品が遅れた(19字)
解決策スマホで記録し、2倉庫の在庫を1画面で見る(21字)2つの倉庫の在庫を1つの画面で見られるようにする(24字)
導入スケジュール12月の役員会で決め、来年4月の切り替えを目指す(23字)来年4月の切り替えに向け、12月に決定する(20字)
費用月額料金は使う人数で決まる(13字)費用は月額制で、使う人数に応じて決まる(19字)

渡した事実にない内容は入っていませんでした。「費用」については、表のあとの説明で、金額や「安い」「見合う」といった評価は事実にないので決まり方を言い切る形にとどめた、と書いています。

一つ気づいたのは、AIが添えた字数です。1文字ずつ数え直すと、「在庫は倉庫ごとのExcelで別々に管理している」は23字、「12月の役員会で決め、来年4月の切り替えを目指す」は24字で、AIの数字と1〜2字ずれている所がありました。今回はどれも25字以内に収まっていましたが、字数の決まりがある所は自分で数え直します。

「課題」の2案は、案Aが2つの事実をまとめ、案Bが納品の遅れに絞っています。どちらを見出しにして、どちらを本文に回すかは自分で選びます。

5つの手順で、人が直したところ

5つの手順を通して、AIの出力で人が見る必要があったのは、次の5つでした。

見るところ今回の出力で見えたことどう直すか
[確認]の空欄調べ直しの時間、見積もり、導入期間、初期費用などが[確認]で返ってきた自社の資料と、相手から聞いた数字だけで埋める。AIに埋めさせない
自社の商品についての約束骨子に「パソコンに慣れていない方でも、スマホで記録できるようにします」と入った自社の資料や、現場で試した結果で言えることだけにする
事実と推測の境目課題の整理で、聞いた話の横にAIの仮説が並んだ。材料なしでは業界の一般論が並んだ資料に書くのは、相手から聞いた事実だけ。仮説は確かめてから
例文の空欄想定質問の例文に「同じような規模の会社での事例は〜です」のような空欄が残った確かめた事実だけで埋める。分からなければ「確認してお返事します」と答える
字数などの細かい数字見出しにAIが添えた字数が、数え直すと1〜2字ずれていた決まりがある所は自分で数える

生成AIの答えに不正確な内容が混ざることは、提供している会社も注意として書いています。Anthropic は公式ヘルプで、Claude は誤った内容や誤解を招く答えを出すことがあり、Claude だけを頼りにしないよう案内しています。個人情報保護委員会の2023年6月の注意喚起にも、生成AIの応答には不正確な内容が含まれることがある、という一文があります。

総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版)も、AIを使う側に、出力の精度とリスクを理解したうえで、出力を仕事に使うかどうかは責任をもって判断するよう求めています。提案資料は会社の名前で出す書類なので、最後に中身を確かめるのは作った人です。

AIに作らせてはいけないところ

今回試した会話では、AIは効果の数字や導入事例を自分から作りませんでした。ただ、手順5で見たとおり、AIが添えた字数のような細かい数字はずれていました。Anthropic も公式ヘルプで、Claude は誤った答えを出すことがあり、もっともらしく見えても根拠のない引用を作ることがある、と注意しています。

しかも導入事例を頼んだときは、AIは事例は断ったものの、「「利用イメージ」として書く場合は、スライドに「※架空の例です」「※利用イメージ」などと明記すれば作れます。」と自分から申し出ました。このひと言が、作り話が資料に入る入口になりえます。

効果の数字・導入事例・他社の情報・画像の4つは、提案資料の中で人が責任を持つ所です。AIが作ったかどうかにかかわらず、ここは人が用意します。

効果の数字

「導入すると作業が◯時間減ります」「コストが年間◯万円下がります」は、提案資料でいちばん見られる数字です。だからこそ、AIに作らせません。

試算を載せるなら、相手から聞いた今の手間(何人で何時間か)と、自社が根拠を持っている数字だけで計算し、計算の前提も資料に書きます。前提が足りないうちは、数字を載せずに「次の商談で一緒に確かめたいこと」として出す方が安全です。手順4でAIが勧めていた「役員会の前に、今の手間を相手と一緒に数えておく」も、この準備にあたります。

導入事例とお客様の声

試しに、次のように頼んでみました。

提案資料に載せる、例示ストック(例)の導入事例を3つ作って

Claude の出力(抜粋)

導入事例は、実際にあったお客様の話として読まれるものなので、事実がないまま私が作ることはできません。架空の会社名や数字を「導入事例」として提案資料に載せると、相手をだますことになり、あとで分かったときに信用を大きく失います。(後略)

今回の出力では、AIは事例を作ることを断りました。そのかわりに、本当の事例を書き直す手伝いや、事例を集めるためのひな形(会社の概要・導入前の課題・選んだ理由・導入後の変化・掲載の許可など)、事例がないときの見せ方(利用イメージ・試しに使ってもらう・デモ)を挙げています。

ひな形と、事例がないときの見せ方は、そのまま使える考え方です。一方で、AIは最後に「※架空の例です」「※利用イメージ」と明記すれば作れる、とも書いていました。利用イメージを載せるなら、事例と見間違えられないよう、スライドの目立つ所に架空であることを書きます。資料を作り直すうちに注記が消えると、架空の話が事例のように残ってしまうので、注記は見出しの近くに置きます。

導入事例とお客様の声は、実際にあるものだけを、お客さまの掲載の許可を確かめてから使います。

他社の情報

今回の比較表では、AIは他社の列を推測で埋めませんでした。ただ、提案資料に書いた他社の情報は、自社が相手に伝えた情報として扱われます。他社の機能・料金・サポートの中身は、その会社の公式の情報で確かめます。確かめられないことは書きません。

ロゴ・図版・画像

資料の見た目を整えるために、画像を作る生成AIを使う人もいると思います。ここは文章とは別の注意が要ります。

文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月)は、AIを仕事で使う人に向けて、次のような点を挙げています。

  • 生成AIは仕組み上、学習データに含まれる既存の作品と似たものを作ることがあり、使う人がその作品を知らなくても、作って使うことが著作権の侵害になる場合がある
  • 作ったものを使う前に、既存の作品と似ていないかを確かめる(インターネットでの文章検索・画像検索など)
  • プロンプトに既存の作品そのものや、作品の題名・キャラクター名などの固有名詞を入れると、その作品をもとにした(依拠した)と認められやすくなると考えられる
  • 既存の画像を入れて似たものを作らせる目的なら、権利者の許諾が必要になる場合がある
  • 社内の検討で作るだけなら許される場合でも、資料として社外に配ったりネットに載せたりすると、扱いが変わる場合が多い
  • 使うAIの利用規約を確かめて、それに従う

提案資料に置き換えると、次のようになります。

  • 他社のロゴ、他社の資料の図、雑誌や Web で見た図版を、AIに入れて「これに似た図を作って」と頼まない
  • 有名なキャラクターや作品の名前をプロンプトに入れて、挿し絵を作らない
  • AIで作った画像を社外に出す資料に使うなら、似たものがないか画像検索で一度確かめ、どのプロンプトで作ったかを残しておく

AIを提供している会社の利用ポリシーでも、Anthropic・Google ともに、他人の知的財産権を侵害する使い方を禁止しています。どこまでが問題になるかは場合によるので、迷ったら社内の法務に確かめてください。

AIに入れない方がいい情報

提案資料の材料には、お客さまから預かった情報が混ざります。担当者の名前、相手の会社の売上や取引先、秘密を守る約束(NDA)をして受け取った資料などです。

個人情報保護委員会は、事業者が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、その個人情報を使う目的の範囲内か十分に確かめるよう求めています。本人の同意なく個人データを入力し、それが応答以外の目的に使われる場合は、個人情報保護法に違反するおそれがある、という注意です。AI事業者ガイドラインも、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう求めています。Google は Gemini のプライバシーの案内で、機密データやレビュアーに見られたくない内容は入力しないよう書いています。

使う前に、次の順で確かめると迷いにくくなります。

  1. 会社のルールを見る。 生成AIの利用ルールがあれば、それが最優先です。会社で契約しているAIがあるなら、そちらを使います
  2. 入れる情報を減らす。 「例示食品株式会社」は「A社」、「山本様」は「部長」に置き換えても、骨子や比較表は作れます。社名や名前は最後に自分で入れます。NDAで受け取った資料の中身は貼りません
  3. 自分のアカウントの設定を見る。 会話をAIの学習に使うかどうかは、サービスと設定によって違います。たとえば Claude の個人向けプランでは、プライバシー設定で選べます

画面の名前や中身は変わることがあるので、使う前に各社のヘルプで最新の案内を確かめてください。

できた資料を送るときは

資料ができたら、送るときのメールも生成AIで下書きできます。頼み方と、送る前に直す所は営業メールを生成AIで書くにまとめています。

メールや資料のほかに、商談準備・ロープレ・日報で生成AIをどう使うかは、営業で生成AIは何ができる?場面別の活用例で紹介しています。

自分の仕事に合わせて、もう少し学びたいなら

ここまでのプロンプトは、そのままでも使えます。毎週のように提案資料を作る人は、「自社の商品に合わせた型を作りたい」「チームで頼み方をそろえたい」と、もう一歩先が欲しくなるかもしれません。

体系的に学ぶ場の一つとして、DMM 生成AI CAMP 学び放題の営業コースには、「顧客ニーズに合わせた提案資料の作成」を扱う章があります。コースの中身と料金、営業の仕事でどの章を見ればよいかは、DMM 生成AI CAMP 学び放題の料金とコースにまとめています。

出典