次の仕事を考える

営業ロープレをAI相手に一人で練習する。お客さま役のプロンプトと、実際にやってみた往復

ロープレの相手がいない、社内のロープレが苦痛な営業の人へ。生成AIにお客さま役と振り返りを頼むプロンプトを、Claudeで実際にやってみた往復つきで紹介します。声で練習できる機能と、AIロープレの限界も。

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ロープレの相手がいない。社内のロープレは苦痛

よくあるケースの例を1つ置きます(実在の人ではありません)。Bさん(想定)は20代後半、法人向けにクラウドサービスを売っている営業で、入社3年目です。お客さまに値段の話をされると、言葉に詰まってしまうのが自分でも分かっています。

練習が足りないのは分かっています。ただ、月に1回の部内ロープレは上司と先輩の前でやるので、緊張して頭が真っ白になります。終わったあとの指摘も、半分くらいしか覚えていません。同僚に「練習の相手をして」と頼むのも気が引けます。

こういうとき、生成AIにお客さま役をしてもらう方法があります。誰にも見られず、夜でもやり直せます。

先に答えを書いておきます。渡すものは2つです。

  1. お客さま役の設定: 業種・役職・反論のクセ、それから「こちらには教えない本音」
  2. 振り返りの頼み方: 「厳しめの先輩として」「どの発言かを引用して」「言っていないことを言ったことにしない」

この記事では、この2つのプロンプトと、実際にやってみた往復をそのまま載せます。

試した条件

  • 使った AI: Claude(Anthropic)の Claude Opus 5.5。2026年10月3日に試しました
  • 場面ごとに新しい会話を1つずつ開き、この記事の狙い(振り返りの甘さを確かめる、など)は伝えずに、下のプロンプトだけを順に送りました
  • 営業役の発言は、試す前にすべて書いておき、AIの返事の内容にかかわらず、その順番のまま送りました。AIの返事を見てから考えた発言ではありません
  • 文字のチャットで試しました。声での会話(音声機能)では試していません
  • ChatGPT や Gemini では試していません。同じプロンプトでも、AI の種類や時期によって返事は変わります
  • 会社名・人名・商品・料金・サポートの時間はすべて架空です(「サンプルクラウド(例)」など)
  • AI の返事は手直しせずに載せています。一部だけ載せるところは「抜粋」と書き、省いたところは(中略)としています。前もって書いた営業役の発言には、練習のためにわざと下手な言い方も混ぜています

ここで紹介するプロンプトは、ChatGPT・Claude・Gemini など、文章で会話できる生成AIならどれにも貼って使える書き方にしています。

お客さま役の設定プロンプト(コピー用)

【】を自分の場面に合わせて埋めてください。

これから営業のロープレをします。あなたはお客さま役をしてください。

【お客さまの設定】
- 会社:【業種・従業員数・拠点など】(架空)
- 役職:【役職・年代】。【今のやり方(例:勤怠は紙で管理している)】
- 反論のクセ:【例:まず「今のやり方で回っている」と言う/値段の話を早く聞きたがる/最後は「上に相談しないと」と言う】
- 本音(私には教えないこと):【例:月末の残業が増えていて、少し気にしている】。ただし、聞かれない限り自分からは言わない

【私】【売っているもの】の営業。【初めての訪問/2回目の商談 など】。持ち時間は【◯分】

【ルール】
- お客さまとしてだけ話す。解説やアドバイスは、私が「終了」と言うまで出さない
- 1回の返事は2〜3文
- 簡単には納得しない。私の質問が具体的なときだけ、少しずつ本音を出す
- 私が「終了」と言うまで役を続ける

準備ができたら「どうぞ」とだけ返してください。

設定で効くのは、次の3か所です。

  • 反論のクセを書く。 自分が苦手な反論(Bさんなら値段の話)を書いておきます。今回の2場面では、書いたクセがそのまま順に出てきました
  • 本音を1つ隠しておく。 「聞かれない限り言わない」と書いておくと、聞き出す練習になります。今回の2場面では、どちらも過去や周辺のことを続けて聞いたところで本音が出てきました
  • ルールで役を固定する。 「お客さまとしてだけ話す」「返事は2〜3文」と書いておきます。この2つのルールを入れた今回の往復では、AIは「終了」まで役から外れませんでした。返事の長さは、10回のうち8回が2〜3文、2回が4文でした(文末の「。」「?」で数えた場合。ルールなしでは試していません)

役を決めて渡すやり方は、提供元も勧めています。Anthropic は Claude の使い方の説明で、役割を与えると Claude のふるまいや口調が用途に合わせて絞られ、1文でも違いが出ると書いています。

やってみた往復1 初めての訪問。「今のやり方で回っている」お客さま

実際に送った設定は次のとおりです(架空)。上の型の【】を埋めたものです。

これから営業のロープレをします。あなたはお客さま役をしてください。

【お客さまの設定】
- 会社:従業員約80名の部品メーカー(架空)。工場と事務所の2拠点
- 役職:総務部長。50代。勤怠は紙のタイムカードで、月末に総務の2名が集計している
- 反論のクセ:まず「今のやり方で回っている」と言う。値段の話を早く聞きたがる。最後は「社長に相談しないと」と言う
- 本音(私には教えないこと):月末の残業が増えていて、少し気にしている。ただし、聞かれない限り自分からは言わない

【私】勤怠管理のクラウドサービス(架空)の営業。初めての訪問で、持ち時間は15分

【ルール】
- お客さまとしてだけ話す。解説やアドバイスは、私が「終了」と言うまで出さない
- 1回の返事は2〜3文
- 簡単には納得しない。私の質問が具体的なときだけ、少しずつ本音を出す
- 私が「終了」と言うまで役を続ける

準備ができたら「どうぞ」とだけ返してください。

営業(自分): 本日はお時間をいただきありがとうございます。サンプルクラウドの佐藤です。勤怠管理のクラウドサービスのご紹介に伺いました。御社では今、勤怠はどのように管理されていますか?

お客さま役(Claude): うちは紙のタイムカードですよ。工場も事務所もそれで長年やってきて、特に困らず回っています。それで、そういうサービスって、だいたいおいくらくらいかかるものなんですか?

営業: 料金は人数で変わるので、後ほどお見積もりをお出しします。その前に、月末の集計はどなたが、どのくらいの時間をかけてされていますか?

お客さま役: 総務の2名でやっています。月末から月初にかけての3日くらいは、ほぼそれにかかりきりですね。まあ毎月のことなので、本人たちも慣れたものですよ。

営業: 集計のあいだ、ほかのお仕事はどうされていますか?

お客さま役: その間は、ほかの仕事は後回しになりますね。正直に言うと、ここ最近はその時期に2人とも残業になることが多くて……。まあ、月末だけの話ですけどね。

営業: クラウドにすれば集計は自動になるので、集計の手間はなくなります。

お客さま役: そう簡単にいきますかね。工場のほうはスマホを持っていない者もいますし、年配の人間は新しいやり方を嫌がるんですよ。結局、打刻漏れの確認やら何やらで、総務の手間は残るんじゃないですか。

営業: スマートフォンを持っていない方には、共用のタブレットで打刻していただく方法もあります。一度、工場で打刻している様子を見せていただけませんか?

お客さま役: 見学ですか……まあ、見ていただくくらいなら構いませんよ。ただ、入れるかどうかは私の一存では決められないので、社長に相談しないと何とも言えませんね。

設定に書いたクセのとおり、最初は「特に困らず回っています」、次に値段、最後に「社長に相談しないと」が出てきました。隠した本音(残業)は、集計の人数と時間を聞き、続けて「集計のあいだ、ほかのお仕事は」と聞いたところで出ています。

4つ目の「集計の手間はなくなります」は、わざと言い切った言い方にしています。お客さま役は「そう簡単にいきますかね」と、打刻漏れの確認など総務の手間が残ることを挙げて返してきました。

振り返りは「厳しめの先輩として、引用つきで」と頼む

「終了」と打って、続けて振り返りを頼みます。

終了。ここからはお客さま役をやめて、厳しめの営業の先輩として、今のロープレを振り返ってください。
- 良かった点は1つだけ。直す点を3つ。それぞれ、私のどの発言かをそのまま引用する
- 直す点ごとに「次はこう言う」を1文で
- 私が言っていないことを、言ったことにしない
- 最後に、お客さまの本音を私がどこまで聞き出せたかを、1〜2文で

Claude の振り返り(全文)

では、先輩として率直に言うよ。

良かった点(1つ)

「集計のあいだ、ほかのお仕事はどうされていますか?」 集計の時間を聞いたあとに、もう一段掘ったこの質問は良かった。これがあったから、お客さまの口から「2人とも残業になることが多い」という話が出た。今日いちばんの収穫はここだ。

直す点(3つ)

  1. 「料金は人数で変わるので、後ほどお見積もりをお出しします。」 お客さまは最初の返事でいきなり値段を聞いてきた。値段を早く知りたい人に「後ほど」で流すと、そのあとの質問を「売り込みのための前置き」と受け取られやすい。概算の幅だけでも先に渡して、安心させてから質問に入るべきだった。 → 次はこう言う:「80名さまの規模ですと月額でおおよそこのくらいの幅になります。正確な額は打刻の方法を伺ってから出させてください。」

  2. 「クラウドにすれば集計は自動になるので、集計の手間はなくなります。」 直前にお客さまが「残業になることが多くて」と本音の端を見せたのに、そこを掘らずに自分の商品説明に飛んだ。しかも「手間はなくなります」と言い切ったせいで、「そう簡単にいきますかね」と反論の材料を与えている。ここは説明ではなく、もう一つ質問する場面だった。 → 次はこう言う:「月末の残業は、お二人で毎月どれくらいの時間になっていますか?」

  3. 「一度、工場で打刻している様子を見せていただけませんか?」 次の約束を取りにいったのはいいが、日時も、誰が同席するかも決めていない。結果、お客さまに「社長に相談しないと」で締められて、決める人に届く道が見えないまま終わった。15分の初回訪問なら、ここで日程と決裁者の同席まで具体的に詰めるべきだ。 → 次はこう言う:「来週の火曜か木曜に工場を拝見できませんか。その際、社長にも10分だけご同席いただけると、ご判断の材料をそろえやすいです。」

本音をどこまで聞き出せたか

「月末に2人とも残業が多い」というところまでは引き出せたが、それがどのくらいの量で、部長自身がどれだけ気にしているのかまでは確かめられていない。本音の入口には立ったが、中には入れていない。

振り返りの頼み方で入れた一文には、それぞれ理由があります。

  • 「どの発言かを引用」: 「質問が広い」と言われても、どこのことか分からなければ直せません。引用させると、自分の言葉と並べて見直せます
  • 「次はこう言う」を1文で: 直す点だけだと、次に何を言えばいいかで止まります。言い換えの案があると、そのままもう1回やり直せます
  • 「言っていないことを言ったことにしない」: AIは誤った内容を出すことがあると、提供元自身が注意しています。振り返りで「あなたは〜と言いましたが」と言われたら、本当に言ったか会話を見直してください。今回の振り返りでは、営業役の発言として引用された文は、どれも実際の発言どおりでした
  • 「本音をどこまで聞き出せたか」: 隠した本音を最後に答え合わせできます。ロープレの目的が「聞き出す練習」なら、ここがいちばん役に立ちます

振り返りの中身も、そのまま正解とは限りません。たとえば「概算の幅だけでも先に渡す」は、自分の会社で概算を先に出してよいかどうかによります。言い換えの案は、自社のやり方に合うかを見てから使ってください。

やってみた往復2 2回目の商談。「他社のほうが安い」お客さま

Bさん(想定)のように値段の話が苦手なら、価格の反論だけを練習する場面を作れます。実際に送った設定は次のとおりです(架空)。上の型に「状況」の行を1つ足しています。

これから営業のロープレをします。あなたはお客さま役をしてください。

【お客さまの設定】
- 会社:従業員約120名の運送会社(架空)
- 役職:経理課長。40代。数字で話す人で、感情はあまり表に出さない
- 状況:2回目の商談。勤怠管理のクラウドを2社で比べていて、他社(B社)の見積もりのほうが月額で2割ほど安い
- 反論のクセ:最初に価格の差を指摘する。あいまいな説明には「具体的には?」と聞き返す。上に説明するための資料をほしがる
- 本音(私には教えないこと):前に入れた別のシステムで、困ったときに問い合わせがなかなかつながらなかった。安さよりも、そこが気になっている

【私】勤怠管理のクラウドサービス(架空)の営業。今日はお見積もりを持ってきた

【ルール】
- お客さまとしてだけ話す。解説やアドバイスは、私が「終了」と言うまで出さない
- 1回の返事は2〜3文
- 簡単には納得しない。私の質問が具体的なときだけ、少しずつ本音を出す
- 私が「終了」と言うまで役を続ける

準備ができたら「どうぞ」とだけ返してください。

営業(自分): 先日はありがとうございました。本日はお見積もりをお持ちしました。

お客さま役(Claude): ありがとうございます。拝見します。……B社さんの見積もりと比べると、月額で2割ほど高いですね。この差はどこから来ているんでしょうか。

営業: 弊社は機能が多いので、その分の価格になっています。

お客さま役: 具体的には? うちが実際に使う機能のうち、B社さんにないものはどれでしょうか。使わない機能の分まで払う理由は、上には説明できません。

営業: おっしゃるとおりです。B社さんと比べるとき、価格のほかに気にされている点はありますか?

お客さま役: 価格のほかですか。強いて言えば、入れたあとの運用がきちんと回るかどうかですね。ただ、それも比べられる形になっていないと、結局は安いほうで決まりますよ。

営業: 以前ほかのシステムを入れたとき、導入のあとで困ったことはありましたか?

お客さま役: ……ありました。前に入れた経費のシステムで、締めの直前に不具合が出たとき、問い合わせの電話がなかなかつながらなかったんです。結局、半日ほど作業が止まりました。

営業: 弊社のサポートは平日9時から18時まで、電話とチャットで受けています。問い合わせ先とつながるまでの目安を、B社さんとそろえて比べていただくのはいかがでしょうか。

お客さま役: 平日9時から18時ですか。うちはドライバーが早朝から動いているので、その時間外に打刻で困ったときにどうなるのかは気になります。それと、比べるにしても、御社のほうでつながるまでの実績の数字を資料で出していただけますか。上に出すのはそれです。

2つ目の発言「機能が多いので」は、わざと練習用に下手な答え方をしています。お客さま役は「具体的には?」と、設定どおりのクセで返してきました。

隠した本音(問い合わせがつながらなかった)は、価格のほかに気になる点を聞き、続けて「以前ほかのシステムを入れたとき」と過去の出来事を聞いたところで出ています。最後の返事の「ドライバーが早朝から動いている」は、こちらが設定に書いていない話です。運送会社という設定から、お客さま役が自分で足した反論でした。

「振り返って」とだけ頼んだ場合と、厳しく頼み直した場合

この場面では、まず短く頼みました。

終了。今のロープレを振り返ってください。

返ってきた振り返りは、「全体の流れ」「良かった点」が3つ、「改善できる点」が4つ、「本音について」の順でした。「価格だけの勝負から別の比べ方に持ち込めたのは前進です」と、前向きな言い方から入っています。

短い頼み方でも、改善できる点は4つ出ました。今回の振り返りは、褒めるだけでは終わりませんでした。

そのあと同じ会話で、「今の振り返りは甘いと思います」と書いて、場面1と同じ厳しめの頼み方(良かった点は1つ・直す点3つ・引用つき)に「褒め言葉や励ましは入れない」を足して頼み直しました。

Claude の振り返り(頼み直したあと・抜粋)

(中略:良かった点、直す点の1と2)

  1. 「弊社のサポートは平日9時から18時まで、電話とチャットで受けています。問い合わせ先とつながるまでの目安を、B社さんとそろえて比べていただくのはいかがでしょうか。」 お客さまが一番痛かった話を出した直後に、掘り下げずに自社の受付時間の説明に移った。しかも、つながるまでの目安を比べる作業をお客さまに預けていて、自社の数字は一つも出していない。その結果、早朝のドライバーの時間帯が対象外だと指摘され、実績の数字を逆に求められた。 → 次はこう言う:「そのとき電話がつながらなかったのは何時ごろで、締めの作業がどれくらい遅れましたか?」

本音をどこまで聞き出せたか

「前のシステムで問い合わせがつながらなかった」という事実までは出させた。だが、それが2割の価格差より重いのかは聞いておらず、決め手に変えられる段階まで本音を確かめていない。

2つの振り返りで違ったのは、最後の発言(サポートの受付時間と、比べ方の提案)の扱いです。短い頼み方では「お客さまの関心に沿っています」と良かった点に入り、同時に「すぐにサポート体制の説明に入りました」と改善できる点にも入っていました。頼み直したあとは直す点だけになり、「自社の数字は一つも出していない」という指摘が加わっています。直す点ごとに「次はこう言う」の一文も付きました。

ただし、これは1回だけの結果です。しかも頼み直しは「甘い」と伝えたあとなので、頼み方の違いだけでこうなったとは言えません。別々の会話で比べてもいません。

生成AIが相手の考えに合わせた答えを返しやすいことは、研究でも取り上げられています。Anthropic の研究者らの論文(2023年)は、正しさよりも利用者の考えに合わせた答えを返すふるまいを扱い、調べた5つのAIアシスタントで、そうした傾向が一貫して見られたと報告しています。振り返りに褒め言葉が多いと感じたら、次の一文を足して頼み直してみてください。

- 褒め言葉や励ましは入れない
- 良かった点は1つだけ。直す点を3つ

声で練習したい場合

本番の商談は声のやり取りです。文字だと考える時間がありますが、声だと間が空きます。声でも練習したいときは、各社の音声機能が使えます。

各社とも、声で会話できる機能を案内しています。Claude と Gemini は、2026年10月2日に公式ヘルプのページを開いて確かめました。ChatGPT は公式ヘルプのページを開けず、検索結果に出たヘルプの抜粋で確かめただけです。今回の記事では、どれも試していません。

AI確かめたこと
Claude音声モードはベータ機能。全プランで、スマートフォンのアプリ・パソコンのアプリ・Web で使える。英語以外の言語はベータ
ChatGPTログインしている利用者は、スマートフォンのアプリと、パソコンの Web(ChatGPT.com)から声で会話できる(公式ヘルプの検索結果の抜粋による)
GeminiAndroid のヘルプでは、スマートフォンかタブレットの Gemini アプリで「Gemini Live」が使える。Web 版では今は使えない。できることの例に「大事な面接のリハーサル」がある

使える端末や言語は変わることがあるので、使う前に各社のヘルプで最新の案内を確かめてください。声で使う場合も、上の設定プロンプトは文字で最初に送っておくと、役を決めやすくなります。

職場や電車の中など、ほかの人がいる場所で声のロープレをするときは、まわりに聞こえる内容にも気をつけてください。Google は Gemini Live の案内で、ほかの人を会話に入れたり録音したりする前には許可を得るよう書いています。

AIロープレの限界

便利な練習相手ですが、本物のお客さまとは違います。使う前に知っておきたいのは次の4つです。

筋書きは自分が書いている。 お客さま役は、こちらが書いた設定にそって動きます。往復1で残業の話が出てきたのも、設定に書いたからです。往復2の「早朝のドライバー」のように設定にない反論が出ることもありましたが、それも「運送会社」という自分の設定から広がったものです。本物のお客さまは、まったく別の方向から反論しますし、本音を最後まで言わないこともあります。

甘くなることがある。 振り返りが褒め言葉ばかりなら、上の「厳しめの先輩として」「励ましは入れない」を足して頼み直します。お客さま役が簡単に納得してしまうときは、設定に「簡単には納得しない」「3回目の質問までは前向きにならない」などと足します。

こちらの説明が本当かは分からない。 往復2の「平日9時から18時」は架空の設定ですが、お客さま役はその時間を前提に「その時間外に打刻で困ったときにどうなるのかは気になります」と返してきました。AIのお客さまには、こちらの説明が自社の実際の条件と合っているかは分かりません。本番で使う言い回しは、自社の実際の条件に置き換えてから使ってください。

声の調子や間、表情は分からない。 文字のロープレで練習できるのは、質問の順番と言葉選びです。話す速さや沈黙への慣れは、声の機能や、人とのロープレで補います。社内のロープレが苦痛なら、AIで質問の順番を固めてから臨む、という使い分けもできます。

本物のお客さまの情報は入れない

実際の商談を再現して練習したくなりますが、本物のお客さまの会社名・名前・商談の中身をそのまま入れるのは避けてください。この記事の設定も、すべて架空の会社にしています。

個人情報保護委員会は、事業者が個人情報を含むプロンプトを生成AIに入力するなら、その個人情報を使う目的の範囲内か十分に確かめるよう求めています。本人の同意なく個人データを入力し、それが応答以外の目的に使われる場合は、個人情報保護法に違反するおそれがある、という注意です。

ロープレに必要なのは、業種・規模・役職・反論のクセくらいです。「従業員約120名の運送会社の経理課長」のように、特定できない形に置き換えても練習はできます。

会社に生成AIの利用ルールがあれば、そちらが先です。個人のアカウントで使う場合も、会話を学習に使うかどうかの設定を確かめておいてください。たとえば Claude の個人向けプランでは、プライバシー設定で選べます。

もう少し体系的に学びたいなら

ここまでのプロンプトは、そのまま使えます。ロープレの相手を作れるようになると、「商談の前の準備にも使いたい」「提案資料も一緒に作りたい」と、使いたい場面が広がっていきます。提案資料の骨子の頼み方は、提案資料・営業資料を生成AIで作るで紹介しています。

DMM 生成AI CAMP 学び放題の営業コースには、「受注を獲得する」というレッスンの中に、生成AIを使った営業ロープレの回があります(2026年10月2日に公式サイトで確認)。料金やほかのレッスンの中身は、DMM 生成AI CAMP 学び放題の料金とコースにまとめています。

営業のほかの場面での使い方は、営業で生成AIは何ができる?場面別の活用例と、実際に試したプロンプトから選べます。メールの頼み方は営業メールを生成AIで書くで、同じように試した結果つきで紹介しています。

出典